受水槽のメンテナンス、ちゃんと行っていますか?受水槽は、私たちが日常的に使う水を蓄える重要な設備です。しかし、適切な管理がされていないと、衛生状態の悪化やトラブルの原因になることも。この記事では、受水槽のメンテナンスが必要な理由と、具体的な方法について詳しく解説します!
そもそも受水槽とは?その役割を簡単に解説
受水槽は、水道水を一時的に貯めておくための設備で、ビルやマンション、商業施設などの建物に欠かせない存在です。特に、水を大量に消費する施設や、高層建築物では水圧を確保するために重要な役割を果たしています。
たとえば、大きな建物では配水管だけでは十分な水圧を保てないため、受水槽に水を貯め、ポンプで建物の高い部分まで供給します。また、災害時に断水が発生した場合でも、受水槽に蓄えられた水を一時的に使用できるため、利用者に安心感を提供します。
受水槽の主な役割は、水の供給量や水圧を安定させることです。日常的に使用する水の安全性を確保するだけでなく、非常時にも水を使える環境を整えることで、私たちの生活を支えてくれています。
一方で、受水槽のメンテナンスが不十分だと、衛生面や安全面で問題が生じる可能性があります。たとえば、内部に汚れがたまりやすく、清掃を怠ると水質が悪化したり、異物が混入するリスクが高まります。そのため、定期的な清掃と点検が不可欠です。
このように、受水槽は建物内の水を供給する「要」と言える存在です。
メンテナンスを怠るとどうなる?発生するリスクとは
受水槽のメンテナンスを怠ると、見えないところでさまざまなリスクが発生します。普段は気づきにくい問題でも、放置してしまうと利用者の健康や建物全体の安全に大きな影響を及ぼす可能性があります。ここでは、具体的なリスクについて解説します。
1. 水質の悪化
受水槽の内部は、使用しているうちに少しずつ汚れが溜まります。水垢や金属部分のサビ、外部からの異物の侵入が原因で、カビや雑菌、ウイルスが繁殖することも珍しくありません。これが進行すると、水が濁ったり、変色したり、異臭が発生することがあります。こうした水を利用者が口にすれば、健康被害を引き起こす恐れがあります。
2. 異物の混入
受水槽の清掃や点検を怠ると、虫や小動物が侵入するケースもあります。特に古い設備では、蓋や隙間がしっかり閉じられていないことが原因で異物が混入することがあります。このような状況を放置すると、水道から出てくる水に異物が混ざり、利用者の信頼を失う結果になりかねません。
3. 設備の劣化や故障
メンテナンス不足は、水槽自体の劣化を招くこともあります。金属部分のサビや配管の亀裂、送水ポンプの故障といったトラブルが発生すれば、修理費用が大きくなるだけでなく、断水による利用者への影響も深刻です。
4. 法律違反による罰則
受水槽の清掃は、水道法によって義務付けられています。水量が10㎥を超える受水槽を設置している場合、年1回以上の清掃や水質検査を実施しなければなりません。これを怠ると、100万円以下の罰金が科される場合があります。また、建物の管理者としての信頼にも関わる重要な問題です。
受水槽メンテナンスの具体的な方法をチェック!
受水槽のメンテナンスは、水の安全を守るために欠かせない作業です。一見単純そうに思える清掃も、実際には専門的な手順が必要です。ここでは、受水槽メンテナンスの具体的な流れをわかりやすく解説します。
1. 事前準備と水質検査
清掃を行う前には、まず利用者に断水の予定を周知することが重要です。断水や清掃のスケジュールを2~3週間前には決定し、建物の利用者に伝えます。また、清掃前には簡易水質検査を実施。水の色やにおい、残留塩素の有無などをチェックし、異常がないかを確認します。この段階で問題があれば、追加の対応を計画します。
2. 断水と受水槽内の排水
清掃作業を始めるためには、受水槽内の水をすべて排出します。これには時間がかかる場合があるため、建物の規模に応じてスケジュールを調整します。排水が完了したら、いよいよ清掃作業の開始です。
3. 高圧洗浄と内部の清掃
受水槽の内部は、高圧洗浄機やブラシを使って徹底的に洗浄します。汚れや水垢、サビなどをしっかりと除去し、すみずみまできれいにします。この作業は細かい部分まで丁寧に行う必要があり、専門的な技術が求められる部分です。
4. 塩素消毒と設備点検
清掃後は、受水槽内を塩素で消毒します。見た目がきれいでも、雑菌やウイルスが残っている可能性があるため、この工程は欠かせません。また、受水槽や配管、送水ポンプの状態を点検し、劣化や破損がないかを確認します。
5. 水の再補充と最終水質検査
清掃と点検が完了したら、受水槽に新しい水を入れ、再び水質検査を行います。残留塩素の有無や透明度、においなどをチェックし、安全が確認されれば作業終了です。
定期的な受水槽メンテナンスは、建物を利用する全ての人の安心と快適さを守る大切な作業です。次のセクションでは、受水槽管理の法律的な義務について詳しくお伝えします。
法律で決まっている?受水槽管理の義務とは
受水槽の管理は、水道法で定められた義務です。特に、水量が10㎥を超える受水槽を設置している建物の管理者やオーナーには、定期的な清掃と水質検査を行う責任があります。この法律は、受水槽を通じて供給される水の安全性を確保するために設けられています。
1. 水道法で定められた基準
水道法では、水量10㎥超の受水槽が設置されている建物について、年1回以上の清掃や水質検査(法定検査)を義務付けています。これにより、受水槽内の水質が適切に保たれ、利用者が安心して水を使用できる環境を確保しています。
2. 違反するとどうなるのか?
この義務を怠った場合、建物の管理者には最大100万円以下の罰金が科される可能性があります。また、法律的な罰則だけでなく、利用者からの信頼を失うリスクもあります。特に、飲食店や医療施設など、衛生管理が厳しく求められる施設では、清掃や検査が行われていないことが致命的な問題となる場合があります。
3. 義務は水量10㎥以下でも推奨される理由
水量10㎥以下の受水槽には法的な義務はありませんが、定期的な清掃や点検は推奨されています。規模が小さくても、汚染された水が供給されるリスクは同じです。安全性を確保するためにも、法律の枠に関係なくメンテナンスを行うのが望ましいです。
まとめ
受水槽メンテナンスは、建物を利用するすべての人の安全を守るために欠かせない作業です。適切なメンテナンスを行うことで、水質の悪化や設備の故障を未然に防ぎ、安心して使える環境を提供できます。また、水道法で義務付けられた年1回以上の清掃と水質検査を守ることで、法的なトラブルも回避できます。
費用がかかると感じるかもしれませんが、定期的なメンテナンスは結果的に大きなコスト削減と信頼構築につながります。安全で快適な水環境を保つためにも、定期的な受水槽メンテナンスを忘れずに行いましょう。